【生きることはアートだ!♯1】歌川国貞展&パリジェンヌ展

二子玉川近くの国分寺崖線沿いには、緑地とアートの融合した美しい場所があります。

二子玉川から丸子川沿いを上流に向かい、下山橋で右に。右手に瀬田四丁目旧小坂緑地の門を眺めつつ、大蔵通りを道なりに進むと左手に静嘉堂文庫美術館。緑地と美術館を併せ持つ、素敵な空間です。

『花さんぽ♯23』でご紹介した前回の展示『あこがれの明清絵画』に続く、2018年最初の展示は『歌川国貞展』~錦絵に見る江戸の粋な仲間たち~。

浮世絵の中でも多色刷りの色彩の美しいものを「錦絵」と呼ぶそうですが、大事に大事に所蔵されていた作品群の色は本当に美しい。色鉛筆や、クレヨンの箱を開けて色々な色を見るだけで人は癒されると言いますが、この錦絵の「色」には、心を元気にしてくれる勢いがあります。

鏡に映った若い女の子たちのお化粧している姿を現した「今風化粧鏡」

そして、浮世絵は、その時代を表現した「風俗画」。そこに描かれた「人」は生き生きとした「暮らし人」でありました。

はたらく暮らし人を美しい彩りで描いた錦絵の数々。80点以上。

この、国貞展では、19世紀、江戸の幕末の「暮らし人」に会うことができます。その多くは女性、そして役者。その人たちは、その時、国貞というアーティストのいわゆる「ミューズ」だったのでしょう。

歌舞伎役者の似顔絵を集めたもの。いわゆるブロマイド

「ミューズ」、ギリシャ神話の女神さまの名前から「アーティストにインスピレーションを与える女性」として使われる言葉。この言葉、静嘉堂文庫からさらに上流にむかった東京都立砧公園の中にある世田谷美術館の『パリジェンヌ展』で聞いた言葉でした。

futakolocoの連載コラムPONのぐっときちゃった!#2 世田谷美術館『パリジェンヌ展』で、ぽんちゃんがぐっときちゃってましたが、そこでは「単なるミューズではないパリジェンヌたち」という言葉が聞かれました。

『歌川国貞展』、『パリジェンヌ展』、は同じ19世紀の表現者、アーティストの作品であり、そこに描かれているのはまちの「暮らし人」たちでした。

ルソーが「子どもは大人とは違う存在」という新しい教育論を説いたころ、上流階級での女性たちの育児の役割が変わり、表現される絵も変わってきたそう

「単なるミューズではない」ということ、それは、ただ美しいとか、そういう意味ではないということだと思います。

インスピレーションを与える人、その人はただ「美しい」というのではなく、「美しくみえる」「インスピレーションを与えられる」のは、きっと、主体的に行動し、「生きて暮らしている」からではないかと。

「パリジェンヌ展」で音声ガイドのナビゲーターである中村江里子さんの言葉に「自由でしなやかに女性であることを楽しむ生き方」こそが「パリジェンヌ」だ、というのがあったのですが、そうであったからこそ、「ミューズ」になり得たのだということだと思います。

アーティストたちは、パリでも、江戸でも、そういった「暮らし人」を、その持てる力で美しく表現し、それを160年後の私たちに伝えてくれます。確かに、国貞や、マネやルノワールは「アーティスト」。でもそこに描かれた、「人」たちは、その生き方がすでにアートだったのだと思えて、そうすると、生きること、そのことが「アート~人の心を動かす表現」であるということが、自然に感じられるのです。

『パリジェンヌ展』、『歌川国貞展』双方に描かれた「人」「女性」たち。ある国、その時代には、その国、その時代の事情がたくさんあります。それは現在も同じ。

でもどの国、どの時代でもその事情を受け止めながら、前向きに進んでいる(多くは女性)が鮮やかに表現されているこの2館の展覧会、ハシゴしてみてよかったな、と思いました。

このふたつの展覧会では、その時代に生きた人「暮らし人」たちに会うことができます(アーティストが表現したまちのアーティストたちです)

世田谷美術館は「パリジェンヌ展」のために特設ミュージアムショップを設置。お気に入りの作品のエッセンスをいつもそばに置いておくことができるかも。
『静嘉堂文庫美術館』のミュージアムショップは素敵なグッズが並んでいるので見逃せません。
カンロ缶も新作が並んでいました

さて、futakolocoが始まってから、『エリックカール展』『多摩美術大学の作品展』、などレポートしてきましたが、今回、「生きることはアートだ!」と題してコラムにまとめていくことにしました。(コラムにしようと思って前の記事を読んだら、それぞれ「生きることはアートだ」と書いてありました・・・。)

私は、イラストレーターでも、デザイナーでもなく、「絵」や「アート」の勉強をしたことはないのですが、13年前、鎌田の砧南小学校の前に小さな部屋を借り、青山に本部をもつ『子どものアトリエアートランド』の提携アトリエを開設しました。4年前までは青山のアトリエでもクラスを担当し、今は大蔵に引っ越しをして「関連アトリエ」ということで自分のアトリエを続けています。色彩心理学者の末永蒼生先生に師事しましたが、私たちが目指しているアトリエは、自由な創作空間を子ども達に提供し、作品を通じて子ども達の様子を養育者の方に伝え、子ども達も、周りの大人たちも楽しく毎日が送れるようにお手伝いをするという場です。

以前、先生が言っていた「その昔、人はラスコーの洞窟に絵を描いた。人は生まれながらに感情を表現する動物なのだ」ということを、私はアトリエをやってきて、日々感じます。子ども達のつくる作品は、その子そのものです。誰かの心を動かすもの、それこそがアートではないかと思うと、日々の子ども達のやること、つくるもの、一つ一つが素晴らしいアート。人は誰でも子どもだったわけですから、すべての人はアーティストだったのだろうということに行きつきます。

「生きることはアートだ!」という思いは、美術館でいわゆる「アート作品」を鑑賞することで、再認識され、その思いが強くなります。そこには、表現者(アーティスト)たちの感情、思いが詰まっており、そこに表現された(描かれた)人たちの思い、その時代の持つエネルギーまでもが伝わってくるからです。

「すごい」「おもしろい」「楽しい」「きれい」「かっこいい」「いいね」・・・感情のなかでも特に「共感」を呼び起こす表現に出会うことは、明日への原動力になるのかもしれないなあ、と思うし、人に何かを伝えるには、そういう表現が必要なんじゃないかと思います。

そして、それは美術館だけではなくてきっといろんなまちなかに落ちているのではないかと思うので、それを探して拾えたら楽しいだろうな。

『歌川国貞展』は2月25日までが前期、2月27日からは後期で、ほとんどの作品が入れ替わるということなので、もういちど、また、江戸の「暮らし人」、「アーティスト」たちに会いに行かなければ・・。

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『歌川国貞展』

■会期:2018年1月20日(土)~3月25日(日)

■会場:静嘉堂文庫美術館

休館日:毎週月曜日(ただし2月12日は開館)、2月13日(火)休館

▪入館料:一般1,000円 大高生・身障者手帳をお持ちの方とその介助者1名700円 中学生以下無料
(一般・大高生は20名以上団体割引あり)

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『パリジェンヌ展』

■会期: 2018年1月13日(土)~4月1日(日)

■会場: 世田谷美術館

休館日: 毎週 月曜日 ※ただし、 2月12日(月・振替休日)は開館、翌13日(火)は休館

■観覧料など詳細はこちら→企画展『ボストン美術館 パリジェンヌ展』開催概要など
 

投稿者: ゆか

サラリーマン時代に東急ハンズ玉川店、玉川高島屋を担当し、ここいら辺が気に入って移住。岡本の坂下に住み、母となり産んだ子どもたちはもうオトナ。2005年から鎌田で子どものアトリエを始め、2016年に大蔵5丁目「ゆいまあると3つの磁石」に引っ越し「子どものアトリエ」「映画とキャラメル」など、よくわからないことを展開中。NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク事務局。